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zine「聲」a5 size

¥1,100 税込

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◎zine「聲」◎
・sizeA5 21cm×14.8cm
・¥1,100(送料込み)
・総ページ数20P

2023年個展「聲」にて展示されていた作品がまとまったzine。以下会場作品文より。


「聲」
呼ばれるように起き上がる
身体が撮影の準備を始めている

桜が満開だ
通勤途中の人たちが桜だった残骸を踏みながら
今日もお勤めへ向かう
剪定された桜の木は前の年よりさっぱりしている
ふと、上から桜の枝が折れて目の前に落ちてきた
折れた桜はまだ恐ろしいほど美しい
桜はいつ命が尽きるのだろう?
ハナニラはすぐ側で自転車の下敷きになっている
日が昇るにつれて周りにいるハナニラが、
徐々に花びらを開き、
タイヤを侵食していく様は、
タイヤに仕返ししているように見えた

夏の太陽が激しく照りつけている
降りたことのない駅で降り適当に歩いてみると、
紫陽花で溢れる小さな公園を見つけた
おじいちゃんが次に向けて紫陽花を剪定している
剪定された紫陽花たちの山が
すぐそばに横たわっている
「はやく撮れ」という圧を紫陽花から感じ、
シャッターを切る

秋の匂いが漂う
布団にもう少し入っていたい
ちょっと遠くへ散歩してみる
ベンチの隙間からヒメジョオンの花が顔を出している
何故か満足そうな顔をしているように見えた
次の日そのベンチの前を通ると
見事に引っこ抜かれていた
帰化植物は有無を言わせずに処理される
愛すべき帰化植物はいつも不憫だ

彼岸花の有名な群生地である棚田へ向かう道中、
田んぼをたくさん見かけた
東京では見られない風景に少し高揚した
すぐ側に彼岸花も咲いているが、
中には切り取られたり折れてしまい、
横たわっている彼岸花もいる
横たわる真っ赤な彼岸花はやけに輝いて見えた

花好きの友人は花屋でお気に入りの花を見つけると
花と「目が合う」らしい
形は違うが、「その花」を知り得る事象の存在は
奇妙だが浪漫がある
聲など聴こえるはずもないのに
身体がそこへ吸い寄せられていく
ここにある花たちは、僕が出会った、主張の強い、
何か不思議な魅力のある花たち


会場の雰囲気を少しでも感じていただけたら幸いです。

※価格は梱包・郵送費込みの価格となっております。何卒ご理解の程よろしくお願いします。

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